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一昨日の夜、睡眠薬抗鬱剤を十五錠くらい嚥んで、それからずっと眠っていた。父が会社のほうに今週中休ませてもらうよう電話してくれていた。私は誰にも救えないと思うし、私自身も私を救うことができない。私のような人間はまったく生きることに向いていない。どこにいても安住の地が無く、いつも不安で、いつも恐怖し、いつも焦燥している。疑り深く、陰険で、人付き合いができず、癇癪持ちで、堕落している。

小説を書くのが好きだったが、私は人の本を読まないと自分の創作に取りかかることが出来ない。それなのに本が読めない。

 

母の子宮に還ることは、再び苦行の道を選ぶということだ。私はそんなこと耐えられない。人生は苦しい。飛び降りたときに折った背中の骨が痛んでつらい。父は眠っている。父が死んだらどうなるだろう?母がいなくなったとき、私はこの世の不幸を全部背負ってるんだと強く自覚した。呪われているんだ。次飛び降りた時はどこを折るんだろう?そのときはもう死んじゃってるから痛くないか。死ぬというのは楽だ。死には尾を引く痛みというものがない。一瞬痛いだけで、あとでじんじん痛んだりしない。死は救いだ。

どこにいても帰りたい。ベッドの上で眠っていても帰りたいと思っている。本当は人生で一度も帰ったことの無い場所なのに。そこは本当に心から安らげる場所……見栄や虚栄心のいらない場所……あたたかい家……優しく、わたしのことに関心を持って、いつもそばにいてくれる父母……楽しいことを教えてくれる兄姉……それから豊かでおおらかな自然……奔放な野生動物……へその緒

 

小説を書かなくちゃ……

今の私は抜け殻だ。ずっと抜け殻だった。無職の友達が欲しいな。暇人で、ずっと一緒に遊んでくれる子。忙しい人は苦手だ。忙しい人は、勝手に忙しくなっていればいいのに。忙しい合間を縫って会いにくる人間なんて特に最悪だ。

父が喉を悪くしてずっと咳している。

今、書いている小説は、色色書き直しをしている。大筋の内容は、美しい二人の少女が、無意味な殺人を繰り返しながら、大陸じゅうを横断する話。ナボコフは英語でロリータを書いた天才だ。私も語学を勉強したい。

母や姉は私よりずっと絶望的な立場にある。それなのに一度も死にたいともらしたことがない。

私だけが一族で異端なのだ。自殺遺伝子を私だけが受け継いでいる。