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入院が29日に決まった!

ワアッと思うほど嬉しかった。もういい加減、一人で眠るのに飽きた。

 

父は離婚してから毎年、年末になると有馬温泉と高級な宿をおさえて連れて行ってくれる。今年は大みそか、有馬温泉に行くことになっていた。

けれども、先述のように入院が決まったので行けないという話になった。父は「外泊許可を取って行こう」と言ったが、私は嫌だったので、「行かない」と答えた。

私は温泉というものの良さが一つも分からない。貸し切りなら良いが、知らない女どもが裸でうろついているのは耐えられない。

父は残念そうだった。でも私は父と母が離婚したときのほうが残念だったので、申し訳ない気持ちにはならなかった。

(私は無意識に、両親に対して復讐したいと考えている節がある)

 

「月に吠えらんねえ」という漫画。

萩原朔太郎が主人公で、北原白秋もメインキャラクターで出てくるような話。

私は昔から友達と、「太宰はこんな人で……漫画だとこんな風だろう……」というような話をしていたので(中学生の私の最愛のアイドルは太宰治中原中也)、こういう文学者にスポットライトを当てたマンガや小説を読むと、

「先にやられた!」という悔しい気持ちになるので、あまり読みたくない。

しかし、私にも悔しいという感情が残っていたのが驚きだ。

ここ数日は、もう生ける屍だった。

何度考えても生きる意味がないのである。

何もしたくない。誰とも関わりたくない。なのにお金が必要で、働かなくちゃいけないのは不条理だ。生きたくないのに働くのは理にかなっていない。死にたい人間は死ぬべきなんだ。

それくらい死ぬことに対してポジティブだったのに、まだ、他人の作品を見て「やられた!」と地団駄を踏む気持ちになるのは、新鮮だった。

もしかしたらまだどこかで、誰もやっていないことをやってから死にたいと考えているのかもしれない。そうだとしたら、かなり、諦めのわるい女である。

 

誕生日の夜に、父に全て吐露した。父の鬱、小説好きなところ、飽き性で職場を転々としないと気が済まないところ、すべて受け継いで入院するのだから、父にも背負ってもらわなければ割にあわないと思ったからである。

父からは「自由に生きろ」ということと、

「はやく死ぬつもりならお金なんていらなくて楽だ。好きなことが出来る」ということを言われた。

 

それにしても、外は寒いな。好き好んで外に出ている人間のほうが、キチガイじゃないか?私は仕事でも学校でも、この時期になると必ず休む。怒られても休む。だって、寒い外に出るほうが、キチガイ沙汰じゃないか。